【お陰様で好評の内に終了いたしました。】
| 第110回企画展 「密教の工芸品」 |
平成17年4月8日(金)〜6月13日(月)
天台密教と工芸品
延暦23年(西暦804年)、遣唐使の一員として法華経教理探求を究極の目的に唐に渡った最澄(伝教大師)は、天台山で法華経関係の教理を学ぶと同時に、密教の思想を相承し、更にひろく禅や戒律も兼学しました。目的を果たして帰朝した最澄は、延暦25年(西暦805年)、日本に天台宗を開きます。法華経を中心とした中国天台の教えに密教を加え、顕教(釈迦如来の教え)、密教(大日如来の教え)双方に同等の重きを置いた最澄の教学は、日本天台の基盤となりました。それに対し、最澄と共に入唐、最澄の約1年後に帰朝した空海(弘法大師)は、密教を最上の法門(教え)とする真言宗を開きました。当時の中国最新の密教を導入した空海の本格的な真言密教(東密)に追いつくべく、天台密教(台密)では、最澄の跡を継いだ円仁(慈覚大師)・円珍(智証大師)が入唐して東密に比肩する成果をもたらします。最澄・空海以降の密教は、教理と修法(実践)が体系化される以前の密教(雑密)に対し純密と呼ばれ、儀礼・法具等整備され現在に受け継がれています。
元来ヒンドゥー教の影響を強く受けてインドに成立した密教は、ヒンドゥーの諸神を多く迎え、ヒンドゥーの祭祀や呪術法を積極的に取り入れました。密教修法で欠くことのできない法具についても、その原形をインドの器物に見ることができます。独鈷杵・三鈷杵・五鈷杵等は元は武器でありヒンドゥーの神の持物であった物で、行者の煩悩を打ち砕く象徴として用いられます。また金剛鈴は、梵音によって仏の来臨を願い諸尊の歓喜を導くと共に、悪を退散させる役割を果たします。その他、花を顕した華曼で道場を荘厳(飾ること)したり、燈明をあげ、焼香、飯食など行うため壇上に一面器を供えます。僧具、僧衣類も、密教独自の制式や意匠を伝える重要な工芸品です。
天台寺院である日光山輪王寺は、顕教に関係する仏画・経典などの宝物類の他、密教本尊・密教法具など密教美術品といえる宝物を多く伝えます。密教法具を中心としたこれらの工芸品等を通して、密教の神秘性に触れ、日本で独自に発展した宗教文化への理解を促す手がかりとなれば幸いです。
| 展示品のご紹介 ※ 出陳展示什宝は、予告なく変更する場合があります。 |
![]() こんごうかい たいぞうかい 金剛界 胎蔵界 りょうかいまんだらず 両界曼荼羅図 (輪王寺蔵) |
![]() もくぞうごだいみょうおうぞう 木造五大明王像 (輪王寺蔵) |
![]() こがたみっきょうほうぐ 小形密教法具 (輪王寺蔵) 【重要文化財】 |
![]() ぎょうじだん 行事壇 【伝天海所用】 (輪王寺蔵) 【重要文化財】 |
上記を含め、約60件の什宝を展示しております。 |
| コ川記念財団常設展示 |
| 将軍と夫人の教養 六代家宣公 十代家治公 十一代家斉公 十二代家慶公・十二代夫人楽宮 |
260余年にわたる泰平の世が維持された江戸時代、歴代将軍は教養として儒教的精神を重んじる一方で、日本の伝統文化を学び、武家の棟梁に相応しい武の修得と文の技芸を日々鍛錬して、理想的人間像・理想的社会の実現をめざしました。
徳川将軍家では三代家光公以来、皇室や五摂家から御台所を迎えました。そのため大奥では公家風の風俗・習慣が形成され、御台所は茶の湯・生け花・琴・三味線等を嗜み、和歌や歌合・香合・囲碁・将棋・双六・細工物等に興ずる自由なひとときを過ごしました。
今回の展示では、コ川宗家(将軍家)に伝来する十二代将軍の画像および、六代家宣公、十代家治公、十一代家斉公、十二代家慶公と夫人楽宮の筆による書画をご紹介いたします。
好学の人として著名な六代家宣公は、門閥の外から間部詮房や新井白石を抜擢し、儒教的理想主義に基づく「王道政治」を目指し、その治世を「正徳の治」と称えられました。十代家治公は、側用人田沼意次を重用したため、その治世はむしろ田沼時代として知られ、自由な空気の中で庶民文化が花開きましたが、その反面綱紀が緩み、政治・社会に腐敗が目立つ面もありました。十一代家斉公は、田沼意次を罷免して、白河藩主松平定信を後見とし、田沼時代の商業重視の行き過ぎと庶民生活の華美をあらため、財政再建、物価引下げ、学問奨励、風俗引締めからなる、いわゆる寛政の改革を実施しました。定信辞任後は、改革の行き過ぎた部分を緩和し、化政文化を現出しましたが、海防問題が生じる等、支配体制の矛盾は深まってきていました。文化6年(1809)12月、家慶公は有栖川宮織仁親王の娘楽宮喬子と結婚、家斉公は十二代家慶公に将軍職を譲った後も、大御所政治を行いました。家斉公の死去後、家慶公は内外の難局に対処すべく、天保の改革を進めましたが、弘化・嘉永年間には仏・英・米の艦船がしばしば来航して通商を求めるようになり、海防はいよいよ急務となりました。
ここに展示されている将軍の画像や将軍・御台所の書画を通して、その治世に思いを馳せ、人物像の一端を感じて頂ければと思います。
| 展 示 品 目 録 |
| 家宣筆 和歌色紙「石上」 |
| 家宣筆 「詩懐紙」 |
| 家治筆 「大黒天図」 |
| 家斉筆 「芦五位鷺図」 |
| 「徳川家慶像」 |
| 家慶筆 「竹唐子遊図」 |
| 家慶夫人喬子(楽宮)筆 和歌短冊 「秋かせに」 |