日光山輪王寺

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法話

「おものみ」と「みこし」

「おものみ」と「みこし」

 

輪王寺 執事長
今 井 昌 英

 

 輪王寺の正門である黒門の手前に「御物見」(おものみ)という建物があるのをご存じでしょうか? 普段は窓を閉じているので、気付かない方も多いかもしれません。

 実はこの御物見、かつて日光山の門主を勤められた「輪王寺宮様」(りんのうじのみやさま)が、二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)や東照宮の神様を祀る「神輿」(みこし)を拝むために作られた建物です。

 輪王寺宮様とは、日光山輪王寺と上野寛永寺の門主、さらに比叡山の座主をも兼務された皇室出身の僧侶のことで、その伝灯は江戸時代初期から13代続きました。

 明治維新で神仏分離が行われたあとも、4月17日の二荒山神社の大祭「弥生祭」(やよいさい)や、5月18日と10月17日に行われる東照宮の「千人武者行列」が行われる際には、輪王寺の門主が御物見に座り、その前を渡御(とぎょ)して行く神輿を拝むという伝統が、今も絶えることなく続いています。

 また、それらお祭りの早朝には、輪王寺の全ての僧侶によって、神仏への報恩感謝とともに、日光山にお参りされる皆様の平安と幸福を祈る法要が、日光山総本堂の三仏堂で営まれています。

 このように、日光山のお祭りでは、仏様と神様の両方に同じように礼を尽くすという「神仏習合」のならわしが、現在まで脈々と受け継がれているのです。

 さて、3年間続いた新型コロナ感染症も、ようやく収束の兆しが見えてきました。それにつれて日光山のお祭りも、少しずつコロナ前の形に戻って行きます。どうか皆様には感染症対策を十分にされながら、百花繚乱の境内をお楽しみ下さいますよう、心より待ち申し上げる次第です。

 

合掌

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