お知らせ

2020年05月25日法話

草木国土悉皆成仏

輪王寺 教化部長
菅原道信

 

 当山では、日々、新型コロナウィルス感染症終息を念じ、勤行しております。
そして、図らずも罹患され、亡くなられた方々の回向も併せて勤めさせて頂いております。
 山中の御堂で朝事を勤めておりますと、ときたま、びゅうと風が吹き、木々のざわめく音とともに、曇天からさっと太陽がのぞき、急に境内が明るくなるといった光景を目にすることがございます。その鮮やかな風景に、自然への畏敬の念をあらためて感じ入るとともに、ふと頭をよぎることがありました。
 コロナウィルスは、太陽光で不活性化するという研究結果があるそうです。また、雨は、きれいに汚れた大地を洗い流します。そして、風は、天然の換気になることでしょう。大袈裟かもしれませんが、これこそ自然の恩恵であり、浄化作用であるのではないかと。
 我々は、自然に生かされております。
 涅槃経に、「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」とあります。草木も国土も、人間同様、自らの意思で悟りに向かっていける存在なのだと説いております。
 植物に音楽を聴かせると、よく育つとの研究もされております。愛情をもって育てると、その情に対応するがごとく、大きく成長するのだそうです。私たちは、自然にも慈悲があることを知るべきなのかもしれません。
 自然は、私どもの心を優しく慰撫するかの如く、様々な姿で語りかけてきます。その時、我々は、自然に守られているのだと、自覚できるかどうかが大切なのではないでしょうか。

TOP