お知らせ

2025年06月01日法話

山家会

       財務部長 貴船 慈浩

 

 6月4日は天台宗の宗祖である伝教大師最澄のご命日です。

伝教大師は、今からおよそ1200年前の弘仁13年(822)6月4日に遷化されました。

輪王寺でも同日、朝の勤行に続いて、その御遺徳を偲び「山家会(さんげえ)」という法要が執り行われます。

 最澄は、亡くなる前に弟子たちへ、次のような遺言を残しています。

-「我が為に仏を作るなかれ、我が為に経を写すなかれ、我が志を述べよ」-

私のために仏像を作ったり、お経を書き写すよりも、その教えと志を後世に伝えてほしいというものです。

 また、仏の教えがいつまでも絶えぬようにと、最澄が自ら灯した「不滅の法灯」は、今なお比叡山で大切に守られています。

 先日、数年ぶりに最澄の御廟である比叡山の浄土院へお参りをする機会がございました。そこは、落ち葉や雑草が見当たらないほど、手入れが行き届いていました。侍真と呼ばれる僧侶により、伝教大師がご存命であるかのように、毎日のお給仕が続けられています。

その近くには、行院とよばれる僧侶になるための修行道場もあり、若い僧侶たちが懸命に読経する声が、今にも聞こえてきそうでした。

比叡山では、まさに伝教大師の志が今もなお連綿と続いているのを感じ、清々しい気持ちになりました。 

 現代社会は日々めまぐるしく変化し、様々な問題も山積しておりますが、変わらないもの、そして守り続けるべきものの尊さにあらためて気づかされました。

                                        

合 掌

 

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