師走
薬師堂執行 小暮道芳
今年ももう12月へと入り、すっかり寒さが身にしみる冬の季節となりました。
つい3,4ヶ月前には「あついあつい、猛暑だ」と夏の日射しに汗を流していたのがだいぶ昔のように感じられます。思えば、1月頃に「巳年」で蛇に関するお話をしましたが、本当に月日が経つのは早いものです。
“蛇が龍になる”とも言いますように、皆様も努力と精進でよりよく成長・飛躍ができた巳年となったであろうと思います。
さて今年、2025年ももう年末に入り、年の納めに近づいてきました。
“節季師走は猫の手も借りたい”という言葉があります。この時期は誰かの手、それが猫の手であっても借りたいほど非常に忙しいという意味のことわざ。ここでいう師走(しわす)とは12月の旧暦のことです。
その由来というと“師こと僧侶がこの月になると年末に行われる仏事や法要などで忙しく走り回っているから”というのが有名ではあるかと思います。師走以外の表記は他に十有二月・十二月などがあり、どれも「しわす」と呼ばれていたそうです。
この僧侶が走るという由来は、平安時代の頃からすでに言われていたようです。
その由来に関しては、「1年が終わる」と言う意味の歳果つ(としはつ)が変化したもの、または「季節が一巡して終わる」四極月(しはつづき)が変化したもの、あるいは仕事も無事納まって「為し果てる」ことからしわすである、などなど由来と諸説は多いものです。
しかし、そのどれもが12月という月は1年を締めくくるにふさわしい大切な月であると昔から信じられてきたことは変わりないようです。このことから古くから信じられてきた師走の由来を大切しつつ、僧侶は年末の仏事と法要のために忙しく走り、皆様の良いお年のために努めていきたいものです。
蛇も温かな春を迎えるために冬眠します。皆様も今年の仕事を納めましたら、穏やかな年末をお過ごし下さい。そして、2026年をうららかな気持ちでお迎えできますことを願っています。