お知らせ

2024年03月01日法話

出会いと別れ

護摩堂執行

畠山 慈朋

 

冬の刺すような寒さも徐々に和らぎ、少しずつ春を感じる季節になりました。

春は出会いと別れの季節でもあります。学生なら卒業・入学、社会人なら異動・転勤、習い事を辞めたり始めたり、実に様々な出会いと別れがあります。

この出会いと別れ、お釈迦様が説く「四苦八苦」に含まれるのです。つまり、ご存知のように生老病死は四苦ですが、残りの四苦に「愛別離苦」と「怨憎会苦」があります。愛する人との別れ、会いたくない人との出会いのことですが、すべて「縁」によって生かされている我々は、今日のご縁を受け入れて、今の自分があることを認識しなくてはなりません。その出会いと別れは必ずあなたにとって、自分にとってすべて意味のあることなのだと思います。

私たちは無数の縁とかかわりながら一瞬一瞬を生きているわけですが、その無数の縁の中から無意識のうちに自分に都合の良い縁(良縁)だけを選び取ろうとしておりませんか。しかし良縁だと思った縁が何かのはずみで悪縁に変わったり腐れ縁になったりします。縁は絶えず変化するので、それを思い通りにコントロールすることができません。そこから人生の様々な苦しみが生まれることになるわけです。できることは苦も楽も引き受けて生きるという覚悟を持つことだけなのです。

愛する人との別れはとてもつらいものですし、顔も合わせたくない上司・同僚・近隣住民と嫌でも接しなければならない苦しみもかなりのストレスです。ただ、前者は一日でも長く続いて欲しい、後者は一秒でも短く今すぐにでも縁を切りたいと願ってしまいますが、どちらも幸か不幸かは別にして、永遠ではありません。必ず終わりがあるのです。

私は日々、護摩堂にて様々な願い事や悩み事を背負った方々の御祈祷を行わせていただいておりますが、そのすべての出会いに毎座感謝するよう心掛けております。

ご存知のように、日光山は街中にある寺院とは異なり、「ちょっと散歩でも…」と思って来られる参拝者の方は少なく、多くは全国津々浦々、御祈祷を受けるために遠方よりわざわざお越しになっております。そのような方の信心に中途半端な気持ちで望むことなどできるわけがありません。

ですから、すべてのご縁に感謝して、仏様からご加護をいただけるように、今日も一座一座、新たなご縁に感謝して護摩祈祷を行っております。