2025年09月11日法話
大猷院執行のお話
大猷院執行 宮田諶光
今年も毎日30度を超える暑い日が延々と続いています。そのせいでしょうか、秋が来るのはまだまだ当分さきのようです。大猷院境内も国際色豊かで、人はまるで海外のリゾート地を軽装で歩いているかのような今日この頃です。
しかし一歩境内に足を踏み入れると、そこはもう別世界。寺院では、山門を「結界」などと呼ぶように、清らかな世界を仏教でいう「淨域」へと人を導く境目なのでしょうか、大猷院にも二天門が雄々しくそびえています。その為か、二天門をくぐると何故か空気そのものが変わってしまったかのようです。杉木立の中ら蝉の声が聞こえ、時には木漏れ日が降り注いでいます。
「一切皆苦」とでも言うのでしょうか?今多くの人は迷い、悩み、足場を失っています。いくら「生きにくい」と嘆いても「そこは日常、非日常にあらず」と禪の言葉にはあるそうですが、目の前にある事をこなすだけで精一杯の毎日にどっぷりと浸かっていると、つい自分を忘れてしまいそうになってしまいます。
そんな時は「日々是好日」とどんな日にも「好日」と受け止め、自分の心次第だと受け入れ、周りのものにとらわれることなく、境内に足を一歩踏み入れ、やがては訪れる秋を感じてみてはいかがでしょうか?
そして今日一日を「好日」と締めくくりたいものです。
